今さらこんな古いゲームのレビューを書いても、誰も読まないかもしれません。
仮に読む人がいたとしても『参考にならなかったボタン』を押すんじゃないでしょうか。
でも、最近このゲームを購入して、猛烈に感動した自分としては、
もう、レビューを書かずにはいられません。
「これは傑作だ!」と、叫びたい気分でいっぱいです。
なにがそんなに良かったのかと言うと、なんと言ってもゲームの舞台となる世界が、
きっちりと作り込まれている点。これに尽きます。
さすが『スカイリム』を作ったベセスダ。
スカイリムでは素晴らしい完成度のファンタジー世界を構築していましたが、
『RAGE』でも、これまた見事なSFワールドを作り出しています。
SF小説やSF映画が好きな人なら、絶対この設定にシビれるはず。
ただし、ほとんど欠点が見当たらなかった優等生の『スカイリム』と違い、
『RAGE』は大変欠点の目立つゲームとなっております。
欠点だらけと言っても過言ではありません。
まず、街の数が全部で三つくらいしかありません。
ヤバいくらい少ないです。
自由に歩き回れるフィールドも狭い。
街の中や、ダンジョン(敵のアジト)に沢山の扉がありますが、ほとんどの扉は開きません。
見せかけの扉です。
扉を見たら開けたくなるのが人間の性。
開かない扉だらけなのでイラッときますw
フィールドでは車を運転できますが、三人称視点のみ。
視点変更はできません。
通常は一人称視点なのに、運転するときだけ三人称視点です。
ドライバー視点が好きな私はガッカリ。
全体的に映像は綺麗ですが、視点を少し移動させる度にテクスチャを貼り付ける作業が開始されるという驚きの仕様。
このようにダメなところを挙げていくと枚挙にいとまがないほどですが、
それでも総合的にはダメじゃないのがRAGEの凄いところ。
ダメな部分を全てチャラにしてしまう魅力的な要素を、このゲームは幾つも持っています。
街の数は驚くほど少なめですが、一つ一つの街に、それぞれ独特の趣があり、
『人々が生活している生きた街』という感じがします。
そこで暮らしている人々もステキ。
細部まで描き込まれた顔や服装は、現時点で最高レベルと言って間違いないでしょう。
なんと言っても皆さんの顔つきが良いです。
マッチョなオヤジ、ヨボヨボのジイさん、働くおじさん、怪しげなおっさん等々、それぞれ個性的で良い面構えをしています。
女性は美しく魅惑的。スカイリムに登場する女性たちより十倍くらい綺麗です。
彼女たちと主人公の間にロマンスが生まれる、などということは残念ながらありませんが、
街の中に美しい女性がいるだけで、心にポッと火が灯りますw
街の人々との会話も、とっても自然。
それぞれの個性が滲み出るような話をしてくれます。
そして特筆すべきが、敵のアジト。
街の中には秩序のある暖かな人間の生活や、文明を感じられますが、街から一歩外に出ると、そこは荒廃した無法地帯です。
主人公は、無惨に崩れ落ちた廃墟の中を彷徨います。
かつて、人々は、ここで豊かな生活を送っていた……。
そう感じさせる痕跡が、そこかしこに残っています。
今では見る影もなく朽ち果てた建物の中を散策していると、なんとも言えない無常観と奇妙な恍惚感に包まれます。
これはまさしく廃墟の美学。
しかし油断してはいけません。この一見無人の廃墟にミュータントや悪漢たちが巣くっているのです。
彼等は物陰からいきなり襲いかかってきます。
銃を構え、ジワジワと進んでいくドキドキ感。このスリルはバイオハザードの比ではありません。
マシンガン、ハンドガン、スナイパーライフル、ブーメラン、etc。状況に応じて様々な武器を使い分けて戦うバトルも熱いです。
廃墟の中には汚らしい便所や、ボロボロになったベッドなどもあり、
廃墟に住み着いた悪漢達が、今まさに、ここで生活しているッ!という雰囲気もビンビン伝わってきます。
そんなわけで、廃墟に萌える人にはタマらない内容となっておりますが、最大の欠点は、唐突に訪れるエンディングです。
このゲームをクリアした誰もが、不意打ちのエンディングに度肝を抜かれることでしょう。
「武器も揃ってきたし、ここからが本番かナ。楽しくなってきたゾ(^o^)」
などと思っている矢先に、いきなりエンディングが訪れますw
アマゾンレビューにも「エンディングが唐突すぎる」という意見が数多く寄せられていたので、
ある程度覚悟していましたが、こちらの覚悟を上回る破天荒な唐突エンディングに、開いた口が塞がりません。
誰もが
「え!ここで!?このタイミングで!?」
と、思うはず。
オーソリティーの本拠地(キャピタル・プライム)に乗り込むと、もう後戻り出来ないようなので、
これからプレイする人は、その前にやりたいことを全部やっておくことをおすすめします。
とても素晴らしいゲームですが、未完成の作品を強引に商品の形に整えて、販売してしまったような印象を受けました。
制作陣が途中で仕事を放棄してしまったような感じです。
開かなかった扉の先には無数の冒険が待ち受けていたはずです。
クライマックスもごっそり抜け落ちていました。
良いゲームなだけに残念でなりません。
私はこのゲームを2300円で購入しました。現在は二千円を切る価格で購入できるようです。
定価に近い価格で購入すると、やや、納得できない内容となっておりますが、
二千円台で、これほど素晴らしいゲームがプレイできるなら、もう、感謝するしかないと思います。
私は最高に満足したので五つ星。続編も是非プレイしたいです。